2017年3月19日日曜日

小泉喜美子『殺人はお好き?』

みんな思った通り捕まるし、連れ去られるし、退場するし、裏切るし。あまりに定石通りの展開。けれどそれ故に此方は楽しい。何せお約束通りは此方の期待通りに進む、と言う事でもある訳で。それ故に此方は気分がいい。何か、書き手が愛と敬意と情熱を尽くした結果の定石、と言う感じがする。自身の”好き”の最良の姿と、最良の見せ方を書き手が追求した結果の定石、と言うべきか。キッチリと踏襲している。元来の瀟洒さごと、軽妙さごと、自身の”好き”を。この人は本当に自分の”好き”を熱心に書く人であるな、と思う。自身の”好き”に対し、本当に真摯で情熱的な人であるな、と。今回もまた小泉喜美子自身の”好き”の結晶であるかのような一冊。
『メイン・ディッシュはミステリー』の惚気話のそれにも似た、熱っぽくて楽しそうな饒舌を思い出す。もうお腹いっぱいです。



殺人はお好き? (宝島社文庫)
小泉 喜美子
宝島社
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